朝いちばんで日本からメール いまニューヨークにいる人からも返信がきている 旅にでているもの同士がことばをやりとりできるなら 寂しいという感情はこのさき 人類に残させなくなるのかもしれない 今日は長めの文章を送る 書いても書かなくてもどうでもいい…

今朝になってインターネットが繋がったので 夕方にメールを送る 簡単で素っ気ないくらいの 無事だとわかるのに十分なくらいにする ここに着てからはじめて晴れた 日差しはあつく 空気はつめたい どちらも刺すように肌に触れてくる 水曜の午後は ここの決まり…

はじめの2日間の雨がまぼろしだったかのように きのうもきょうも まぶしすぎるくらいの空 庭では花が 燃える炎のように咲き狂っている 街にでてみようと 片道３０分の森の小径を息子と二人で出かける 湖沿いの砂利道はまっすぐに伸びて 小さな家を隠すように…

白髪をみじかく切りそろえたハンサムな男性が 家でわたしたちをにこやかに迎える 年齢を若く見せる軽快な足どりで 大きな、わたしたちの黒いスーツケースを 白いバンの荷台に放り投げるように積み込む エンジンをかけた瞬間 轟音のマリアッチがステレオから…

ここに連れてきた大切なもの 男の子 祖母の撮った花の写真 へルマンヘッセ「庭仕事の楽しみ」 曇り空 きのうの夢が雷のように打ち きょうは夢中になって、花の写真を撮っている ひろいひろい庭をさまよいあるき 誰が世話をしているのだろうと思う なんのため…